Home > つぶやき > 妻から見た、えふしんとモバツイの軌跡(奇跡?) Vol.2
2012年5月10日
Category:[ つぶやき ] Tag:[ jig.jp | Twitter | えふしん | モバツイ | 夫婦活動 ]
最初にこの記事を書いたとき、いつかきっとVol.2を書くことになるだろうな、と思っていましたが、ついにそのときがきたようです。またまた長い(3400字)です。すみません。
前回は、2010年1月にえふしんが独立し、株式会社想創社が誕生したところまでの軌跡を書きました。その数ヵ月後、彼はゲームクリエイターである斎藤由多加さんと出会います。
共同経営者として迎え入れたい人がいるという話を最初に聞いたのは、2010年6月ごろのことです。話を聞いていくうちに、彼は私に「相談」しているのではなく、「決定を報告」しているのだなと感じ、そのままそれを受け入れた感じになりました。
「報告」の中でひとつ安心したことは、斎藤さんも奥さんに話して了承を得ていたという点でした。斎藤さんは、クリエイターと経営者を10年20年やっているような大先輩ですが、会社の大事なことを決めるときに、奥さんにそれを話せる関係であるというのは、私にとって心強いことでした。
その後、斎藤さんご夫妻とお食事をしました。斎藤さんはその日からすぐに私のことをちゃん付けで呼んでくれて、奥さんは、初対面なのに私のクリティカルな悩みを聞いてくださって、とてもきさくなご夫婦でした。経営者の妻の先輩という意味で、奥さんから見習うべきところはたくさんあったように思います。
今思うとなんだか、結納みたいな日でした。斎藤さんとの共同経営にあたり、「想創社」から「マインドスコープ」へ社名を変更することになりました。
新体制&新社名でスタート後、社員がある程度増えて落ち着いてきたのが去年の今ごろでした。その矢先、ユーザーのスマートフォンへのシフトが急激に始まったのですね。
モバツイはもともとスマホ対応もしていて、モバツイをスマホで見てもひと通りのことはできるようにはなっていたんですが、スマホからのアクセス数がすごいペースで伸びていったのです。特にAndroidユーザーの伸びは目を見張るものがありました。
でも実は、ユーザーよりも激動だったのは広告主や代理店でした。これからはスマホだ!という空気になってしまって、大手企業を中心にケータイへの広告出稿が減り始めたのです。気づけば、スマホ対応が急務!という状態になっていたのでした。
こうして去年10月、11月と相次いでモバツイのスマートフォン対応版をリリースしました。Webブラウザアプリの「モバツイsmart」とAndroidネイティブアプリの「モバツイtouch」です。どちらもいろんな愛が詰まっています。
彼がモバツイ自体の売却も視野に入れて今後を考え始めたのは、スマホ対応のリリースを終えた去年11月くらいのことだと思います。このころは苦しかったです。週末になるたびに議論をして疲れはてていた気がします。仕事に対するモチベーションの維持がきつかったです。
売ると言ったってそう簡単に売れるもんでもない。石橋を叩いても渡らないタイプの彼が、真っ暗闇の荒れた海に一人で飛び込んでいこうとしているように私には見えました。それがどれだけ彼らしくない行為かをわかった上で、今後のモバツイと社員たちを守るためにどうしたらいいか、私の立場で何ができるのかを考えていました。
会社の今後についてだんなと話す中で、私がずっと言い続けていたことがあります。
あなたはまだ一度も『起業』していない。
もちろん成功なんてしているはずがない。
まだ彼は一人で何もやりとげていない。モバツイは偶然の産物で、そのパワーで集まってくださった人たちの力を借りて、今の会社があるだけ。私はそう思っていました。
こうして、12月ごろから彼の就活のような日々が始まり、今までほとんど着ることのなかったスーツを着る日が増えていきました。
いろいろな企業とお話をしたようでしたが、その結果、ベストな買い手と出会えたと私は思っています。多分えふしんもそう思っているでしょう。
→5月7日のプレスリリース
→この件のえふしんのブログ記事
売却先となったjig.jpさんとはもともと、iアプリをOEM提供していただいたからみで、日々接点がありました。特に開発チームとの接点は大きかったですが、私も企画サイドで結構接点はあり、どことなく似た社風のような印象を持っていました。
ケータイのTwitterクライアントを運営する立場として、同じような喜びも苦しみも実体験しているという点でも、モバツイを本気で幸せにしてくれるという確信が持てました。
5月1日に契約が確定したときには、本当にうれしかった。数ヶ月の苦しみからやっと解き放たれた感じがしました。5月2日に、二人でお祝いの乾杯をしました。
少し時期が戻りますが、4月8日はモバツイをリリースしてから満5年の記念日でした。3月下旬にそれに気がついた私は(遅い)、だんなに内緒で彼を主役にしたイベントができないかと、Facebookで協力者を募りました。
結果、ネット経由で集まった116本のバラの花束と、心温まる言葉のあふれる寄せ書きと、30人近くのみなさんに出席していただいた記念パーティとUst中継、5周年記念のノベルティグッズ、そして、モバツイ150万人記念のときにイラストを描いてくださった窪之内英策先生描きおろしのえふしんの似顔絵という、ものすごくたくさんのプレゼントを用意することができました。
アイデア出しからたくさんの方にお手伝いいただき、パーティ当日、わたしはほとんど何もせず、幹事団のみなさんが動いてくれました。トータルで100人以上は関わっていると思います。ソーシャルメディアの力って、なんてすごいんだろうと思いました。
当日、バイアウトの話はまだみなさんに言うことができなかったのですが、きっと彼も感じていたと思います。モバツイがたくさんの人に応援されて、感謝されて、支えられていたことを、モバツイから離れてもずっと忘れてはいけないって。
関わったみなさん、本当にありがとうございました。彼もFacebookで表現していたのですが、ほんとに、この日のことは一生忘れないと思います。
5月1日でマインドスコープの親会社がjig.jpとなり、えふしんはマインドスコープの社長を辞任し、顧問となりました。会社もjig.jp社内に移転し、モバツイと、私を含めたマインドスコープの社員たちはすべてjig.jp社に守られることになります。
さっき書いた
あなたはまだ一度も『起業』していない。
もちろん成功なんてしているはずがない。
という言葉は、厳しい表現に見える人もいるかもしれませんが、私にとっては大きな期待を込めた言葉です。彼はもっとできるはずなのです。モバツイよりももっとすごいことをきっとやるはずなのです。この文章の中で彼がバイアウトした理由をあえて書いていないのは、彼はきっとそれをプロダクトとか事業そのもので示すはずだからです。
ま、この先どうなるのかは正直よくわかりませんけど、私もアドベンチャーが好きっていうか、彼がちゃんと人生ゲームをクリアするのを見たいなーと思っていたりします。不思議なくらい今後の不安はありません。彼の「初めての成功」を楽しみにしつつ、私は私で自分ができることをやっていきたいと思っています。
またいつか、Vol.3が書けるようにがんばります。待て次号!w
昨日初めて、マインドスコープの新社長を兼務するjig.jpの福野社長とお話をしました。まったくのアポなしで登場したときはあまりにも自然かつ不自然(変な言い方でごめんなさい)で、いい意味で時が止まった感じがしましたが、違和感はなかったです。そういうことが上手な方なのか、それともマインドスコープの空気と、社長の雰囲気が偶然すごく合っていたのか、どっちなんだろう。
福野さんはいきなり私に「今年で結婚10周年なんですよ」と話しかけました。うちも今年で15年。お互い節目の年ですね、なんて話をしました。ご家族の話をしてくださってうれしいなあと思いつつ、なんかいろいろ見透かされているような気もしました(笑)…でもやっぱり、家族を大事にする経営者だと安心します。
10:40 PM|コメント/トラックバック(0)