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2010年10月17日

ビールのような本。

Category:[ 読書記録 ]

江國 香織
講談社
発売日:2010-09-15

ひさびさに読書記録。とってもとっても薄い文庫本。
イラストレーター松尾たいこさんの絵に対して、江國香織さんが文章をつけたというもの。

松尾さんの絵に対する江國さんの文章は、パリッ、とした印象のものが多いように思いました(江國さんの文章を今まで読んだことがほとんどないので、特徴を知らないで書いているけれど)。コントラストがはっきりした松尾さんの絵とも共通しているところ。

最初の絵を開いたときには、あまりにもパリッとしすぎていて衝撃を受けました。何度読んでも、なんで?と思ってしまい、この本の意図を理解するのに時間がかかりました。だんなに1ページ目を見せて、文章の意図がやっとわかり、やっと先に進めたほど(頭悪い)。

そこからは、文章よりも先に絵を見るようにしました。まず絵から自分が何を連想するかを考えてみてから、文章を見るようにすると、とても面白くなったように思います。

勝ち負けの問題じゃないんだけど、私は100%、江國さんには勝てなかったです(あたりまえ)。江國さんの発想力のすごさを自分が引き立てる結果になったのでした。
文章を読んだあと、私は答え合わせをするような感じで、文章のどこが、絵のどことつながっているんだろう、ということをいろいろ想像しました。

読み終えたときは、あー、楽しかった!と思えました。

でも実は、これは3度目くらいに読んだときの感想。
1回目は、なんか苦しくなって読むのを止めてしまいました。
2回目は、特に感情の変化もないままするすると眺めるだけでした。

3回読んで思ったのは、この本は、自分の心の状態によって、感想が変わるんだなあということ。
まるでビールみたいだなあ、と思いました。

ビールは、飲むときの自分の体調によって、天と地ほど味が変わります。同じビールを飲んでも、さわやかなとき、ほろにがいとき、まったく飲めないとき、いろいろあって。私は、ビールを一気に飲む日と、ものすごくちびちび飲む日が結構高い頻度で交互にあるのだけど、この本にそれと同じような印象を持ちました。

60ページちょっとしかないとてもとても薄い本だけど、読了と言えるのはいつの日か。わたしにも予想がつきません。

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