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2009年2月6日

仕事について考えたこと

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仕事とは、与えられた指示をこなすことだ。

学生のとき、きっと心のどこかでそんなことを思っていました。 私は4大の教員養成系学科を卒業したのに、希望していたのは事務職でした。試験を受けると、4大卒は私一人、ということも結構ありました(短大卒か高卒ばっかり)。

なぜ事務職がよかったか。与えられた仕事を黙ってこなすような仕事がいいと思っていたから。 「あなたの仕事はこれ」と上司に指示されて、マニュアルどおりに、ロボットのように動く仕事がいい、と真剣に思っていました。大学の友人たちが目を輝かせて教師を目指している中で、周囲の反対を押し切って就職活動をしていました。

昨日、そんな自分を思い出させるようなできごとがあったんです。

昨日の夜、だんなと一緒に近所に晩御飯を食べに行きました。私たちが座る席のそばを通り過ぎたバイトの子が、持っていたおしぼりを床に落としたのですが、それをそのままきれいにまるめて、何事もなかったかのようにテーブルに置き、お客さんを案内したのです。

「テーブルにおしぼりを置いて、お客さんを案内する」という仕事を、そのバイトの子は表面上、こなしたといえます。誰も見ていなければ、誰にも責められることもなく、「仕事をした」ことになります。その子にとってのゴールは、「テーブルにおしぼりを置いてお客さんを案内する」こと。だから、それでいい。与えられた仕事をそのとおりにこなしているから、それでいい。

多分、私もそう思っていたと思います。当時。だから、なんだか重なって見えたのです。
フリーになってから、「仕事のゴール」に対する考え方が変わった気がします。仕事というのは、指示をこなすことでも、お金をもらうことでもなく、人を満足させることなんだ、と。満足させることに対して価値が生まれて、結果としてお金になっていくんだと思う。

たとえばさっきのおしぼりの例で言うと、おしぼりを置く理由は「お客さんが席についたら、すぐに手をきれいにできるように」なわけで、その結果、お客さんは食べる前に温かいおしぼりで手がふけて、きれいな手でご飯が食べられる!と満足する。今回の仕事に対して、お客さんの満足がゴールだと認識していたら、バイトの子はそういう行動はとらなかったと思うのです。お店の教育がそういうゴールに向かったものになっていないのだろうなという気がします。

今、私はWebを作る仕事をしているけれど、それは、「人を満足させる」ための手段がたまたまWebを作ることなのだと思っています。もし私が別の手段で人を満足させることができるなら、Web制作の仕事にはまったくこだわらないです。

昨日、ライフワークバランスの話を書いたけれど、今日の話と合わせて考えてみて、気づきました。私は「仕事が好き」なんだなーと。私の何らかの行動で、誰かが喜ぶのを見るのが好きなのです。「行動」は別にWeb制作じゃなくてもいい。事務職でも、教育でも、居酒屋の店員でも、政治家でも、大工さんでも、警察官でもいい。私ができることなら、手段はなんでもいい。

だから、Web制作という「職業」とか「業界」に対して、愛情とか、愛着という感じの視点では、あまり見たことがない気がします。私がWebとかWeb制作が好きと表現することに違和感があるのは、そのせいなのかなあ。好き嫌いの問題じゃないんだよなあ、なんか。というか、私が好きなのはそういう表面的なことじゃない…という感じ。

Web制作そのものじゃなくて、その先にいる人のことをずっと考えていたい。
自分がWebを作れなくなったら、ほかの手段で人を満足させることを考えたい。

私は、そういう風に思ってます。

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>私ができることなら、手段はなんでもいい。

ここ、激しく同意。

何が何でもWebの世界で生きていきたい!とおもってないので、なんだか心意気が足りないのかなあと、逆に引け目も感じることもあるのだけど。
Webに関わってるから仕事が楽しいのではなくて、自分の提案やアドバイスで、お客さんにいいことがあったり、喜んでもらえたことが嬉しかったりするんだよね・・・。

Comment by ももちん — 2009年2月6日 10:59 PM

>ももちん
うんうん。これ、多分前にもどこかで話したことあったよね。ももちんとは似た感覚を持っているんだよなーと思いながら書いてました。

私は逆に「心意気」は、Web制作そのものに対して比重が大きいほうがちょっとどうかと思うなあ。だって、それを「仕事」にするなら、最終的にやることはWebを作ることというより、お客さんを満足させることでしょう?

たとえば、お客さんがあまり気に入ってないのに、自分のWeb制作のポリシーを押し通してしまうとかってのは、「仕事」として成り立っていないのではないか、と個人的には思うんだけどなー。

Comment by fuuri — 2009年2月9日 2:02 AM

ちょっとずれます。

仕事って指示されて何かこなすこと、ってイメージがあって、そう考えると僕がやっていることは仕事じゃないんですよね。
単にやりたくてやっていることなんです。
誰にも話した事はなく、頭のなかでずーっとこう思っていたのですが、コメントとして書きたくなりました^^;

Comment by aka — 2009年2月26日 12:16 PM

>akaさん
遅くなってすいません。
いやー、なんかね、akaさんの考え方のほうがしっくりくるんですよ、私も。実は自分で仕事が好きなんだなーと書きながらどこか気持ち悪い感覚があったんだけど。そういうことか!と思った。
なるほどなあ。仕事って言葉で縛るから、なんかいろいろ分からなくなるのかもしれない。

Comment by fuuri — 2009年3月4日 8:15 PM

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